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【名探偵コナン】APTX4869について薬剤師が考察してみた

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こんにちは、薬剤師のひゃくさんです。今回はみなさんが知ってる薬について考察していきたいと思います。

その名も「APTX4869

そう、名探偵コナンに登場する夢のような薬です。単なる漫画のお話と思ったら意外としっかりとした設定があったのでAPTX4869」について薬剤師としての視点から考察してみました。

APTX4869とは

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APTX4869を飲まされるシーンー名探偵コナンより引用

APTX4869」とは漫画「名探偵コナン」に登場する架空の毒薬であり、大人である(大人といっても高校生)工藤新一が子供江戸川コナンになるという漫画のストーリー上最も重要な設定の原因となる薬です。ちなみに”APTX”は”アポトキシン”と読みます。

まぁ、単なる漫画の話でしょって思う人もいると思いますが、この薬は作者である青山剛昌さんが「APTX4869は完全な嘘ではなく医者の弟と細かく話し合った、作用が働けば実際に幼児化が可能な薬」と言ってるように、ある程度の根拠のある話です。

APTX4869の名前の由来

APTX4869の作用を説明にあたって重要となってくるのがその名前。語尾の「4869」はシャーロック・ホームズの名前から「しはろっく」と文字って付けられたのは有名な話ですよね。

では「アポトキシン」はどういう意味なのか。知らない人が結構多いと思いますが、プログラム細胞死を意味する「アポトーシス」と、毒という意味の「トキシン」を合わせたものになります。

APTX4869の作用

作中にてAPTXの作用は「アポトーシス」の誘導と「テロメラーゼ」の活性化と説明されています。

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作中ではこの二つのワードしか出ておらず、具体的になぜ体が小さくなるのか説明されていなかったので「アポトーシス」と「テロメラーゼ」の二つのワードから推測していくことにしましょう。

アポトーシスってなに?

そもそも「アポトーシス」とはなんなのか。簡単に言うと細胞が自動的に死ぬプログラムです。身近な例で言うとオタマジャクシのしっぽが成長するとともに無くなっていくのもがそうですね。

我々の体では健康な人でも正常細胞ががん化することがありますが、それもアポトーシスによって取り除かれているため健康体のままでいられます。アポトーシスはこのように通常いい方向に働くものですが、APTX4869はこの細胞死を利用して人の命を奪っています。悪い奴らですね。

ただ、コナンの場合はこのアポトーシスがいい具合に働いて体が小さくなります。ここからは想像ですが、アポトーシスによって死んだ細胞の隙間を埋めるように細胞が集まり体が小さくなるのではないでしょうか。

ちなみに作中にて神経細胞は小さくならないと述べられています。これによって「体は子供、頭脳は大人」の名探偵が登場したのですね。

テロメラーゼ活性

私たちの体の中では常に細胞分裂が行われています。ただこれはいつまでも続くわけではなく、分裂が行われるごとにテロメアという染色体の一部がだんだんと短くなって行くのです。テロメアがある一定の短さになると細胞分裂がストップしてしまいます。

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http://tyouzyuidensi.seesaa.net/article/439549648.htmlより引用

テロメラーゼ」とはこのテロメアの長さを伸ばしてくれるものなのです。これが働いていると、細胞は無限に増えることができます。がん細胞などではこれが働くため、永遠と増え続けてしまうのですね。

アポトーシスだけでも幼児化については説明できます。では、なぜ作中ではテロメラーゼ活性も触れられているのでしょうか。それは、体が小さくなるだけではテロメアが短いままなので細胞分裂に限界が来くるためです。

設定上、体は完璧に子供の状態にしたかったのでテロメアの部分も子供の状態へと戻したのではないでしょうか。(少しこだわりすぎてる気もしますが・・・)

腫瘍崩壊症候群で死んでしまう

ここから少し専門的なお話。そもそもそんなに一瞬にして細胞が死んでしまったら、人は死んでしまいます。「腫瘍崩壊症候群」という言葉をご存知でしょうか?

現在、抗がん剤はものすごいスピードで成長しており、がんをやっつける力が強いもの、効果的なものがたくさん出てきました。しかし、がん患者のがん細胞を一度にたくさんやっつけてしまうとがん細胞内にあった物質が一気に血液の中に出てしまい、悪影響を及ぼします。それが「腫瘍崩壊症候群」です。

最悪の場合死んでしまうことだってあるんです。コナンのようにこんなに一気に細胞が死んでしまったら、殺人事件の謎なんて解く前に自分が死んでしまいます。

薬剤師としてはこれは見過ごせないところですね。もしこの作用によって若返ることができる薬ができても使用するのはお勧めできません

元の体に戻ることは可能か

いくら天才阿笠博士といえど、一瞬にして子供を大人に戻すことはできないでしょう。それだけの物質をどこから持ってくるのか、甚だ疑問です。ただ、そこは漫画ですので気にしないようにするのがいいですかね。

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工藤新一の体にもどるシーンー名探偵コナンより引用

漫画では実際にお酒や、薬によって短時間ではありますが高校生の体に戻っています。読んでいる側も新一に戻るととてもワクワクするので、論理的にありえないとかとやかく言うのはやめにしましょう。

 

以上、漫画の内容と少しの考察を加え述べてきましたがいかがだったでしょうか。あくまで個人的な考察ですので、必ずあたっているとは限りません。

いつか青山先生が答えを出してくれる日を待ちましょう。ま、それがいつになるかわかりませんけどね。

真実はいつも一つ。

 

あ、余談ですが世の中には「コナン」っていう薬もあるみたいですね。成分名は「キナプリル塩酸塩」で高血圧の薬みたいです。